🌕第6話 足利義輝編 ―数の理―

戦国ファンタジー
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京の夜を、紅蓮の炎が照らしていた。

三好の残党、足利の乱軍――その数、千を超える。

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本多忠勝の槍が火花を散らし、真田幸村の紅蓮槍が夜空を裂く。

だが、敵の波は尽きることがなかった。

「押し返せぇ!」

忠勝の咆哮が響く。

だが兵の息は荒く、膝をつく者も多い。

環は剣を構えたまま、汗と血に濡れた頬を拭う。

「理を掲げても……数は止まらない。」

クロノスの声が、遠くから響いた。

「数は理の歪み。

だが、それもまた“世界の秩序”のひとつだ。」

環は息を整え、剣を掲げる。

「なら、その秩序を……救う理で超えてみせる!」

だが戦況は残酷だった。

義輝将軍の陣も崩れ、光秀は背を向けて去っていく。

燃える京の塔が倒れ、幕府の終焉が近づいていた。

義輝:「剣に宿る理を信じよ……それが、我らの最後の誇りだ。」

将軍の声が炎に飲まれ、光が消える。

その瞬間、環の視界が揺れた。

立ち尽くす彼女の前で、敵の軍勢が押し寄せる。

「もう……限界……?」

息が途切れ、剣先が地に触れたその時――

夜風が変わった。

潮の香とともに、静かな足音が響く。

「戦の理を語るなら、まず数を知れ。」

その声に兵たちが振り向いた。

月明かりの中に立つひとりの剣士。

蒼き衣をまとい、長大な刃を背に負う。

佐々木小次郎。

彼が一歩進むと、風が裂けた。

妖刀《物干し竿》が抜かれると同時に、海のような静寂が走る。

その一閃は風を断ち、敵兵十を薙ぎ払う。

「理など要らぬ。ただ斬る。

それが剣であり、真理だ。」

敵がざわめき、怯える。

半蔵が驚愕する。

「味方……なのか……?」

環はその背を見つめ、息を呑んだ。

「あなたは……誰?」

小次郎:「風が告げた。

光が傾くとき、影が立つ――と。」

小次郎が踏み出すたびに、敵の陣形が崩れていく。

その姿はまるで“影の理”そのものだった。

環たちは一時的に敵を押し返し、

炎の中に一瞬の静寂が訪れる。

しかし――

本多忠勝:「押し返したぞ!」

真田幸村:「だが……まだ来る!」

遠くから、再び大軍の旗が揺れる。

三好・足利の連合軍が、地を覆い尽くす。

小次郎が振り向き、淡々と呟いた。

「一人増えたところで、数の理は変わらぬ。」

環は唇を噛み締める。

「それでも、守る理は消えない!」

二人の間に、炎の光が揺れた。

夜風が吹き抜け、血と塩の匂いが混じる。

疲労が全身を支配し、環はその場に崩れ落ちた。

小次郎:「……敗北は、理の始まりでもある。」

環はかすかに微笑む。

「あなたも……理を信じているのね。」

その言葉に、小次郎は何も答えず、

妖刀を納めて闇に溶けていった。

波が寄せ、炎の音だけが残る。

疲労と限界の中、環は空を見上げた。

そこには、かすかな光が差していた。

夜明け前の、祈りにも似た淡い光――

まるで、次に訪れる“理”を告げるように。

🌸次回予告(第6話 足利崩壊編)

理の果てに、祈りの声が響く。

敗北の夜明け、環が見る“もう一つの光”とは――。

画面説明🔥佐々木小次郎vs環

💬 クロノスの囁き(心情の一文)

「数は理を示し、理は導きを紡ぐ――夜明けはすぐそこに。」

📜 次回予告

第6話 「義の継承 ― 蒼天と紅の約定 ―」

(近日公開予定)

🔗 前回の話はこちら

👉 🌕第5話 足利義輝編 ― 数の理 ―

🌸物語の始まりはこちら

👉 ⚔️戦国ファンタジー第7話(前編):束ねの剣、黎明に響く

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