🏯戦国九州編・10話前編 ― 理を掲げる橘宗茂 ―

戦国ファンタジー
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時の流れは、束ねの剣に新たな試練を告げようとしていた。

――理は、西へ流れる。

四国で結ばれた十三の理、その光は海を越え、九州の地へと届く。

潮風が頬をなでる。

九州の地は、一見静まり返っていた。

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だが、その静寂の裏には、長く続く戦と支配の影が蠢いていた。

島津の勢力が南方より伸び、九州の国々は次々と屈服。

その支配は「力こそ秩序」という思想のもとに築かれていた。

理を説く者は笑われ、民の声は風にかき消された。

そんな中、環の軍が西へと進んでいた。

旗には“理”の紋。

それは、戦を終わらせるための戦。

「理なき力に、未来はない。」

環の言葉が、秋風のように凛と響く。

🌸人の理を掲げる女武将

橘宗茂――。

その名を聞けば、九州の者なら誰もが知る勇将。

だが今、彼女の胸には葛藤があった。

島津との同盟を保つことで民を守れるのか。

それとも、理を貫き独立を選ぶべきなのか。

戦場で、傷ついた子供を抱きかかえる宗茂の姿があった。

「戦は、誰のためにあるのか……。」

その問いに答える者は、誰もいない。

その時、紅の旗を掲げた部隊が現れた。

環の軍だった。

「橘宗茂、貴女が守ろうとする“理”を見せてほしい。」

環の言葉に、宗茂は剣を構える。

「人の理を掲げるなら、この地で試されよ。」

火花が散り、二人の刃が交わる。

⚔️理と力の狭間

戦は短く、だが激しかった。

宗茂の剣には慈しみがあり、環の剣には意志があった。

交わる刃の中で、宗茂の瞳が開かれていく。

「理は、守るためにあるもの……か。」

彼女は剣を納め、静かに膝をついた。

「この理に、命を託す。」

環は頷いた。

その瞬間、理の旗が光を放つ。

十三の理のうち、最後の一片――“人の理”が結ばれた。

🌕時の揺らぎ

戦の終焉と共に、空に微かな歪みが走る。

風が止まり、草木が揺らぐ。

環が見上げた空の奥に、

“何か”が目覚めようとしている気配があった。

――理が揃う時、時はその価値を問う。

それは、まだ誰にも聞こえない声。

クロノスの囁きだけが、静かに響いていた。

⚜️クロノスの導き

――理が揃う時、封印は静かに軋む。

光は影を求め、影は光を試す。

そして、時はその均衡を見極める。

橘宗茂が人の理を掲げた瞬間、

世界の時はわずかに震えた。

彼女の旗が翻るその下で、

束ねの剣・環の中に“理の循環”が生まれていく。

遠くの時空で、まだ名も知らぬ剣士が目を開ける。

それは――夏の陣へと続く“影の胎動”。

💫次回予告

第11話:戦国九州編・後編 ― 炎の終戦 ―

島津との最終決戦。

橘宗茂が理を掲げ、環が束ねの剣を振るう。

その果てに、封印の光が開かれる――。

👉 戦国ファンタジー第10話:九州決戦(前編)― 光と炎の狭間 ―

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