非公式ファン考察です
🎴序章 ― 知を求める者たち
烈火の深谷を抜け、私はひとりの学者の足跡を追っていた。
その名はラルゥ。
かつてアストルティアの叡智を象徴した存在であり、「理の継承者」と呼ばれた人物だ。
しかし、彼が最後に残した研究室には、沈黙が支配していた。
壁には焼け焦げた魔法陣、崩れた書架、そして封印のように光る結界。
その奥にいたのが、呪魔バルシラ――かつてラルゥの右腕だった男だ。
「理を求めたのだ、わしは。ただそれだけのこと…!」
その声は、老いと狂気が入り混じったものだった。
だが、私には感じ取れた。
――そこに確かに、“理を信じた心”が残っていることを。
第一章 ― 研究室に響く、理の残響
戦闘が始まると、空気そのものが重くなった。
周囲に漂う炎の粒子が、まるで知識そのものを燃やしているように見えた。
バルシラは杖を掲げ、禁断の呪文を唱える。
魔法の波動が広がるたびに、仲間たちの体力が削がれ、フィールドが揺れる。
「これが“真理”だ!人の身で神の理に触れることが、どれほど尊いか!」
それは、学問と信仰の境界を越えた声。
けれど、理を超えることが必ずしも幸福を生まないことを、彼はもう忘れていた。
私は仲間の魔法使い・タカネザクラに叫ぶ。
「今よ、全魔力を解放して!」
紫の光が炸裂し、空間が震える。
バルシラの結界がわずかに揺らいだ――。
その瞬間、私の胸に何かが走った。
それは恐怖ではなく、“共鳴”だった。
第二章 ― バルシラの願い
戦いの最中、バルシラは何度も「ラルゥ」の名を呼んだ。
彼の中で、研究はまだ終わっていなかったのだ。
ラルゥの理論を超えるため、自らの魂を“実験体”に変えた結果、
バルシラは人ではなく“理を喰らう呪魔”となった。
「わしは失敗ではない!理はまだ、この手の中にある!」
その言葉には、どこか哀しみがあった。
人は誰しも、何かを守りたくて学ぶ。
だがその“何か”が失われたとき、残るのは空虚な理だけだ。
彼の杖から放たれた光は、炎でも闇でもなく、
“迷いの色”をしていた。
第三章 ― 理の果てで見たもの
仲間の旅芸人・さくらが再生の旋律を奏でる。
そして私は剣を構え、最後の一閃を放つ。
「呪魔バルシラを やっつけた!」
その瞬間、研究室の魔法陣が静かに消えていった。
残されたのは、古い手帳。
そこには、彼が最後まで書き続けた一文が残っていた。
『理とは、人が人であるための証。
神を超えるための道ではない。』
私はその言葉を胸に刻んだ。
バルシラは狂気に堕ちたのではなく、“理の限界”を誰よりも理解していたのかもしれない。
第四章 ― 光と闇の共鳴
戦いのあと、研究室の奥でひとつの声が響いた。
それは、かつての師・ラルゥの残留意識だった。
「理を継ぐ者よ、迷うことなかれ。理は道ではなく、灯火だ。」
その言葉に応じるように、天井の紋章が淡く光り、
私の杖が温かく輝いた。
“勇気”の理から始まった旅が、
今、“探求”の理へと進化していく――。
終章 ― 理を超えて
バルシラの最期を見届けた私は、
ふと空を見上げた。
燃え尽きた研究室の瓦礫の中、
微かに風が吹き抜けていく。
そこに残っていたのは、悲しみではなく、静かな尊敬だった。
理を追う者は、時に孤独だ。
しかし、その孤独の果てにある“光”を信じるからこそ、
人は前に進めるのかもしれない。
「理とは、誰かの命を守りたいと願う心」
そう気づいたとき、私はもう迷っていなかった。
🌙次回予告
ドラクエ祭り:アバンの教えと継承の理」
――師の言葉は、時を越えて魂に刻まれる。
その理が、“勇気”を“知恵”へと変える。

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