⚔️ 第5話　足利編

京の都――。

三河での戦が収まったのも束の間、環たちは新たな火種に巻き込まれていく。

幕府将軍・足利義輝。

その剣は「天下一」と呼ばれ、敵を斬り伏せるよりも、人を従わせる迫力を放っていた。

だが、その輝きはすでに陰り始めていた。

京には諸侯の思惑が渦巻き、将軍の権威は形骸化し、ただ剣のみが義輝の証となっていた。

環は義輝の姿を前に思わず呟く。

「……これもまた、救うべき人なのか」

光秀は冷静に言う。

「剣に頼る将軍など、いずれは滅ぶ定め。ですが、義輝公の背後にはまだ幕府の名がある」

その時、義輝の側近が走り込んだ。

「将軍暗殺の企てあり！　三好の兵が迫っております！」

騒然となる将軍邸。

義輝は剣を抜き、迫る敵を迎え撃つ構えを見せる。

「将軍たるもの、最後は己の剣で散るも良し！」

だが環は一歩踏み出した。

「違う！　人は守られてこそ未来を紡げる！　幕府の剣は、人を斬るためじゃない！」

その声に、義輝の剣先がわずかに揺れる。

だが、三好の兵は容赦なく迫り、戦は避けられぬ状況に――。

蘭丸が叫ぶ。

「環様！　どうされますか！」

服部半蔵は目を細めた。

「これはただの京の戦いではない…背後に更なる影が潜んでおりますぞ」

クロノスの声が低く響いた。

「歴史は京でねじれる。救いの理は、この都で試される」

🌸 次回予告（第6話 信長影編）

「尾張を離れたはずの影が、再び三河へ迫る。

　服部の刃が告げるのは、織田信長の遺志か、

　それとも新たな宿敵の罠か――」

⏰ 時間予告

「歴史の歪みはさらなる連鎖を生む。

　過去の因縁が甦り、未来の糸を揺るがす時、

　環の決断は仲間をも裂く」

🔗 🌕第5話　足利義輝編 ― 数の理 ―

戦国ファンタジーシリーズの中でも流れ