🕊️あらすじ
夏の陣の終焉。
戦の火が消え、理の世界が静止したとき――
天草四郎は壊れた杖とともに“理の狭間”へと堕ちていった。
そこは、天も地もなく、時間も感情も溶ける虚無の空間。
神の声は届かず、祈りだけが残された場所だった。
やがて、光がひとすじ差し込む。
それは神からの命令ではなく、彼自身の“心の声”。
天草四郎はその瞬間、神の代弁者から理の体現者へと生まれ変わる――。
🌄第一章 沈黙の空
虚空を渡る風があった。
それは音ではなく、記憶だった。
天草四郎は、壊れた杖を胸に抱いていた。
リベリオンロッド――その名が示す通り、神に逆らう光の杖。
だが、彼の目は穏やかだった。
「……神よ、あなたはまだ、僕を見ているのですか。」
返事はない。
この場所には“声”も“理”も存在しない。
あるのは、自らが積み重ねた祈りの残響だけだった。
⚔️第二章 記憶の光
指先に温もりを感じた。
光が――いや、記憶の光が杖を包み込んでいる。
そこには無数の戦場、祈る者たちの姿が映っていた。
そしてその奥に、ひとりの女性――環の影があった。
「……導け、ということか。」
声に出すと、胸の奥に小さな震えが走った。
それは神の命令ではない。
自分自身の意志だった。
🌌第三章 祈りの覚醒
かつて彼は、天使として理を伝える存在だった。
神の理を守り、定められた運命を語るだけの器。
だが今――神の沈黙を前にして、初めて理解した。
「理は命令じゃない……人の願いが形になったものだ。」
その瞬間、胸の奥で何かが砕けた。
祈りが熱に変わり、魂が光に包まれる。
杖の中に、無数の声が響いた。
“天草四郎――汝、神を離れ、人を信じるか。”
「ええ。僕は祈りを信じます。
それが、沈黙した神の代わりにある“希望”だから。」
リベリオンロッドが眩く光を放ち、
天草の体が粒子となって浮かび上がった。
🌠第四章 黎明の契約
光の中に、彼はクロノスの影を見た。
時を司る神が、穏やかな声で囁く。
「お前は、天と地の橋。理と人を結ぶ者となれ。」
天草は微笑んだ。
かつての天使ではない。
今はただ、祈りの中に生きる“人”として。
その瞬間、杖の光が天へと伸び、
空に新たな星が灯った。
それは天草の名を刻む印――
理の新星(メタトロン・スター)。
天界と地上を繋ぐ“祈りの座標”となった。
🌕第五章 黎明の誓い
「これが……祈りの形か。」
彼の瞳には、かつて天界で見たどんな光よりも温かい“人の希望”が映っていた。
彼は空を見上げ、両手を掲げる。
「神を離れても、僕は光を選ぶ。
それが、理のすべてを救う唯一の道だから。」
風が吹いた。
その風の先に、束ねの旗――環の聖剣が輝いていた。
光が交わり、戦国の理が再び動き始める。
💫次回予告
神を離れ、人を信じる。
理の転生者は、光ではなく“祈り”の中に生まれる。
次回――第8話「智と魂 ― 毛利と橘、邂逅の刻」



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