🌄 序 ― 戦いの後に残されたもの
ゾーマが滅び、世界は再び光を取り戻した。
氷が溶け、風が吹き、花が咲く。
しかし――勇者の心の中に残ったのは、静かな虚無だった。
戦いを終えた英雄が感じる「空白」。
それは勝利の代償であり、理が次の段階へ移ろうとする予兆。
勇者は知っていた。
“理は止まらない”。
世界が平和を取り戻したように見えても、
魂の旅はまだ続いている。
そして、呼応するように――
竜神王が、静かに目を覚ます。
🐉 竜神の理 ― 原初の記憶
竜神王とは、かつて理そのものを司っていた存在。
人の理よりも古く、
神々の理さえも超えた「始まりの意志」。
彼の声は低く、深く、穏やかだ。
「理を学びし者よ。お前はまだ、“根”を知らぬ。」
この一言が、勇者を再び旅へと導く。
世界を救ったあとにもう一つの道がある――
それが、“理の還元”。
人は生き、学び、戦い、悟る。
だが、最終的にはその理を“元の光”へ返さねばならない。
竜神王は、その“返還の儀”を勇者に与える存在である。
🔥 試練 ― 魂を映す戦い
竜神王の試練は、単なる戦闘ではない。
彼の攻撃は、肉体を傷つけるのではなく、
心の奥に潜む“恐れ”を映し出す。
一撃ごとに、勇者はかつての自分を思い出す。
アリアハンの少年。
仲間との旅。
バラモスの絶望。
ゾーマの闇。
それらすべてが、彼の心に渦巻き、問いかける。
「お前の理は、誰のためにある?」
勇者は剣を握りながら答える。
「もう、誰かのためではない。理のために、理を生きる。」
その瞬間、竜神王の瞳が光を帯びる。
「……それでよい。」
戦いが終わると同時に、
勇者の魂は一段階上の“光”へと昇華する。
🌌 理の継承 ― 魂の循環
竜神王は、勇者に剣を返す。
それは新たな聖剣――竜神の剣。
「この剣は、お前の心そのもの。次の時代に渡せ。」
この言葉に込められているのは、
**理の循環(サイクル)**という教えだ。
人が生まれ、戦い、悟り、また新たな者へと想いを託す。
それこそが、“理が永遠に存在し続ける理由”。
勇者は初めて笑う。
それは勝利の笑みではなく、
「終わりではなく続きがある」という安堵の笑み。
⚔️ 理の試練 ― 裏の真実
竜神王は、最後にこう語る。
「理は光でも闇でもない。お前たちが“選び続ける”ものだ。」
勇者は理解する。
理は神の教えではなく、人の意志によって形づくられる。
そして、その理を次の世代に伝えることが、
勇者ロトの使命だったのだと。
世界を救うことではなく、
「世界に理を残すこと」。
それこそが真の勝利。
🕊️ 終 ― 還る魂、繋がる理
アリアハンの港。
夕陽が海面を赤く染める中、
勇者は船の上で風を感じていた。
遠くの水平線の向こうに、新たな大地が見える。
それは、未来。
そして“次の勇者”が生まれる場所。
ロトの名は、もはや一人の勇者を示すものではない。
それは、理を繋ぐ者たちの総称である。
勇者が空を見上げると、
夜空に浮かぶ星々が、静かに瞬いていた。
まるで理が光の粒となって、
新たな時代を照らしているかのように――。
💫 理の終着点
人は誰しも、己の理を持って生きている。
それが他人と交わり、ぶつかり、混ざり合い、
やがて一つの“世界の理”を形づくる。
勇者の旅は終わった。
だが、その魂は輪廻のように巡り、
いつかまた、光と闇が交わる瞬間に立ち会うだろう。
「理は終わらない。
それは魂がある限り、何度でも再生する。」
🌠 一言
「理は、受け継がれる意志そのもの。」


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