朝の空気がやわらかくて、どこか懐かしいような香りがした。
いつもより少しだけ遅く起きて、窓を開けると、白い光がやさしく部屋に入り込む。
カーテン越しに見える空の色が、まるで「休息しなさい」と言っているようだった。
頭の中では、昨日の広告設定やサイトの細かな調整がまだ残っていたけれど、
今日はそれを少し横に置いておこうと思った。
昼前、ふと立ち寄ったコンビニで温かいコーヒーを買い、
小さな公園のベンチに座る。風が冷たくなってきて、秋の深まりを感じる。
通り過ぎる人たちを眺めながら、
「みんな何かを抱えながら、それでも前に進んでいるんだろうな」と思う。
その瞬間、自分も同じように、いくつものことを整理しながらここまで来たんだと気づいた。
午後、思いがけず電話が鳴った。
番号を見て少し驚いた。
数ヶ月前に抜けたグループの中のひとり――
もう関わることはないと思っていた人たちからだった。
「久しぶりに集まろう」と言われ、
正直、少し迷ったけれど、
「今日くらいは流れに任せてみよう」と思って出かけることにした。
合流したのは、昔の知り合いと弟、そしてもう一人。
懐かしい空気が流れる中で、
みんなが笑って話しているのを見て、
どこか遠くからその場を眺めているような気分になった。
不思議と嫌な感情もなく、
「もうあの頃とは違う自分がここにいる」と自然に思えた。
その帰り、立ち寄ったネカフェで思わぬ再会があった。
受付のところで名前を呼ばれて振り向くと、
数年前に少し話したことのある人がいた。
「綺麗になりましたね」
そう言われた瞬間、少し照れながらも、
ああ、ちゃんと変われていたんだな、と心の中で思った。
47歳には見えない、と笑いながら言われて、
自分でも少し笑ってしまった。
「元がいいんですね」と言われて、
昔なら冗談で流していたかもしれないけど、
今はその言葉を素直に受け取れた。
夜、家に帰って鏡を見た。
たしかに顔が少し違う。
痩せたのもあるけれど、表情が柔らかくなった気がする。
頬のラインが整って、目の奥に少し光が戻ったように見えた。
思い返せば、春からずっと何かを手放す時期だった。
人間関係、仕事、心の中にあったこだわり。
少しずつ削ぎ落としていった結果、
ようやく「何も足さなくていい自分」に戻ってきたのかもしれない。
パソコンを開き、ブログの下書きを眺めながら、
「今日のことは書かなくてもいいかな」と思ったけれど、
やっぱり文字にしておきたくなった。
過去を消すことが目的じゃなく、
“もう過去に縛られない”ことを確認するために。
夜風がカーテンを揺らし、遠くで電車の音が聞こえる。
静かな時間。
今日はいろんな出来事があったけど、
どれも「今の自分を映す鏡」みたいに思えた。
出会いも、再会も、偶然も、
ちゃんと自分の心の状態を教えてくれる。
これからも、焦らずに、自然体で進めばいい。
必要な人とはまた会えるし、
離れる人とは、その時が来たら静かに手を振ればいい。
🌸 今日の一言
静かな日ほど、自分の心がいちばんよく見える。



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