🌸あらすじ
都を覆う黒煙。
足利の大軍が押し寄せ、忠勝・幸村・半兵衛の防衛線は限界を迎えていた。
兵は疲弊し、矢は尽き、陣の鼓動は静まりかけていた。
ただ一人、佐々木小次郎が敵陣の中央に突入する。
その剣は流星のごとく舞い、数十の兵をなぎ倒した。
だが圧倒的な兵数差の前に、次第に追い詰められていく。
「まだ……あたしは、終わらせない。」
その時、丘の上から光が差す。
その中心に、白き甲冑をまとった女が立っていた。
「遅くなったな――束ねる者、環。」
⚔️黎明の訪れ
夜明け前、煙に包まれた都の空。
風は血と灰の匂いを運び、倒れた旗が揺れていた。
「皆、まだ立てるか。」
環の声が戦場に響く。
恐れよりも希望が宿った声に、兵たちの心が再び灯る。
半兵衛が苦笑した。
「ようやく来たな、総大将。」
「遅れてごめん。でも、もう誰も倒れさせない。」
環は旗の前に立ち、剣を掲げた。
夜明けの光がその刃を照らす。
「この理(ことわり)、あたしたちが繋ぐ――!」
🔥理の共鳴
政宗の蒼天剣が唸りを上げ、忠勝の雷轟の槍が閃く。
幸村の紅蓮の炎が舞い、炎・雷・風が重なって天へ昇る光の柱となった。
その光に包まれ、兵たちは再び立ち上がる。
足利の兵が怯え、陣が崩れ始めた。
「これが……束ねの剣。」
環は静かに首を振った。
「違う。理は力じゃない。心が交わる時、初めて真に輝く。」
⚡転機 ― 天草の導き
その瞬間、空が鳴った。
時の裂け目のような閃光と共に、風が逆巻く。
丘の向こう、蒼白い旗を掲げた軍勢が現れる。
その中央に立つ青年の瞳は、淡い祈りの光を宿していた。
「我ら、理を継ぐ者――天草時貞、参陣いたす!」
兵たちがざわめき、環はその名を呟いた。
「……時貞。やはり導かれたのね、クロノスに。」
光が交差し、戦場が黎明の光に包まれる。
🌌クロノスの囁き ― 束ねの剣、黎明に響く(前編)
――夜明けはまだ遠い。
炎は理を照らし、理はまた炎を生む。
束ねの剣は、そのすべてを抱きしめようとしている。
「けれど、“理”はまだ、ひとつにはなっていない――。」
💫次回予告
光の理は束ねられ、時の導きが交差する。
だが、真の黎明はまだ訪れていない。
次回:第7話(後編)「黎明の陣 ― 理、ひとつに」



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