🏯 戦国ファンタジー第10話:九州決戦(後編)― 理を継ぐ炎 ―

戦国ファンタジー
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あらすじ】

足利戦の余波が残る九州の地。

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光と闇の理がせめぎ合う中、環たちはそれぞれの“想い”を抱えていた。

天草時貞がリベリオンロッドを掲げると、夜空を裂くように光が広がり、

魂と理が交差する――そして、旅は再び三河へと動き出す。

【本文】

夜明け前の空は、まだ焦げたような赤を帯びていた。

九州の戦場には煙と風が残り、焦げた草の香りが漂う。

その中で、環はひとり天草の背中を見つめていた。

「終わるんだね……」

そう呟いた環に、天草は振り向かずに答える。

「終わりじゃない。ここからが“始まり”だよ、環。」

彼女の声は静かで、けれど確かに空を震わせた。

リベリオンロッドが高く掲げられると、光の帯が空へと伸びる。

倒れた兵の魂がその光に導かれるように昇り、

夜の闇が、ゆっくりと理に還っていった。

環は目を閉じ、胸の奥で呟く。

――これが“理”なのだ。誰かを救い、誰かを見送る。

争いの果てに残るのは、怒りでも悲しみでもなく、ただ一筋の希望。

その希望を形に変えるように、忠勝が槍を地に突き立てた。

「俺たちは……これからどこへ向かう?」

「三河だ。」

環の声は迷いなく響く。

「都の理は壊れた。次は“束ねの地”で、もう一度旗を掲げる。」

小次郎が刀を納め、空を仰いだ。

「また忙しくなるな。」

「ふふ、でも悪くない。」

半蔵が軽く笑い、紅蓮の空に舞う光の粒を見つめた。

その光はまるで桜の花びらのように、儚く、けれど強く輝いていた。

やがて天草が一歩前に出る。

風が彼女の衣を揺らし、髪を舞い上げた。

「環、あなたがこの世界を束ねる。私は未来へ理を託す。」

その言葉に、環は深く頷いた。

天草の身体が光の粒となり、空へ溶けていく。

彼女の声が、クロノスの囁きと重なった。

『未来を恐れずに進みなさい。理はあなたと共にある。』

その瞬間、環の背後に立つ仲間たち――忠勝、幸村、小次郎、半蔵――が一斉に歩き出す。

もう誰も、迷いはなかった。

九州の風が彼らの背を押し、東の空から朝陽が差し込む。

それはまるで、新しい時代の幕開けを告げる光のようだった。

環は振り返らずに言った。

「時貞、あなたの理は確かに受け取った。次は――三河で。」

そうして、理を束ねる旅が再び始まった。

【クロノス予告】

「束ねの剣、再び理を集う。

三河に帰還せし旗の下、時を越えた邂逅が始まる。

次回 ― 戦国ファンタジー第11話:三河帰還 ― 静寂と再会の刻 ―」

【リンク】

➡ 続きはこちら

👉 戦国ファンタジー第11話:三河帰還 ― 静寂と再会の刻 ―

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