三河に押し寄せた武田軍。義元を討ったばかりの信康軍にとって、最大の脅威だった。
女の武田信玄は馬上に立ち、咳を押し殺しながらも号令をかける。
「理など戯言。天下は武威で掴む!」
だが戦の最中、信玄の身体が大きく揺れた。激しい咳に襲われ、甲冑が血で濡れる。
兵たちが慌てふためく中、環は駆けだした。
「このままじゃ、死ぬ…!」
カバンを開くと、抗生剤と鎮静剤の瓶が光を反射する。
環はためらわず差し出した。
「これを飲んで。未来の薬。命を繋げるから」
信玄は睨みつけるように環を見た。
「貴様、何者だ」
「未来から来た理の軍師。あなたを倒すためじゃない、生かすためにここにいる」
薬を飲んだ信玄は呼吸を整え、血の気が戻っていく。
「……確かに効いた。小娘、貴様は奇跡を操るのか」
「奇跡じゃない。理と知恵で人を救うんだ」
信玄は深く笑った。
「ならば次だ。川中島で宿敵と決する。その時、貴様の“理”を見極めよう」
信玄は兵を退かせ、三河から去っていった。
環は胸のお守りを握り、呟く。
「救った…でも、この救いが新しい歪みを呼ぶ」
クロノスの声が重く響く。
「一本の命を救った。だが、その選択は歴史を揺らす」
🌸次回予告
「川中島、女の虎と女の龍が激突!
宿命の刃が交わる時、環の“理”は二人の運命を揺らす」
⏰時間予告
「救いは影を呼ぶ。
女将軍たちの宿命が、さらに深い闇を照らす」
🎴第3話 画像用メモ
舞台:城下の夕刻、光が差し込む謀略の間。
登場:
光秀(理知的で冷静、美しい和装) 濃姫(艶やかで凛とした表情、戦装束風) 蘭丸(若く快活な雰囲気、軽装) 雰囲気:静かな緊張感と女の覚悟。 構図:三人が灯火の前で密談する場面。光秀が地図を指し、濃姫が頷き、蘭丸が外を警戒。 トーン:戦略と絆、運命の前触れ。

📘 第3話・後編 川中島の決戦 ⚔️
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