🌅 朝の兆し
朝は、静かに来ました。🍃
夜の名残は残っている。けれど、暗さだけが消えていく。
環(たまき)は目を開けたまま、しばらく天井を見ていました。
眠れなかったわけではない。ただ、眠った気がしなかった。
昨夜のことが、頭の奥に深く沈んでいる。
言葉は少なかった。視線も多くは交わらなかった。
それでも、選ばれたものと、選ばれなかったものがあった。
(朝が来ただけやのに……)
それだけで、決まってしまうことがある。
障子の向こうが白む。環はゆっくり起き上がりました。🚶♀️✨
👥 集合
廊下で足音がしました。👣
「環」
元康の声でした。
「起きとるか」
「起きとる」
戸を開けると、元康が立っていました。
目の下に影はある。けれど、姿勢は崩れていない。🛡️
「皆、起きとる。集まろう」
「うん」
それだけのやり取りでした。
居間には、すでに人が揃っていました。👥
誰も急いでいない。誰も遅れていない。
半蔵は壁際に立ち、忠勝は座っている。🥷⚔️
半兵衛は湯飲みを置いたまま、視線を上げない。🍵
天草四郎時貞は、静かに目を伏せていた。🕊️
昨夜と同じ顔ぶれ。だが、空気は違う。
熱はない。冷たくもない。
ただ、揃っている。
🗣️ 元就の言葉
「……言うぞ」
元就が口を開きました。
声は低く、余分な抑揚はない。🏯
「昨夜のことで、もう戻れん」
誰も口を挟まなかった。事実やからだ。
「選べるのは、これからどう進むかだけたい」
それだけ言って、元就は黙りました。
忠勝が、ゆっくり息を吐きました。💨
「戦が始まる前の静けさは、慣れとる」
少し間を置く。
「……けど、これは違うな」
誰も否定しませんでした。
⚖️ 半兵衛の判断
半兵衛が、顔を上げます。👓
「策は立てられる」
一拍置いて、
「ただ、今日は立てん」
環は、その言葉を聞いて、視線を落としました。
半兵衛が策を出さない時、流れはもう決まっている。🌊
🌸 環の決意
元康が、環を見ました。
「環」
「……うん」
呼ばれる前から、分かっていた。
環は息を吸います。🌬️
「全部、分かったとは言えん」
正直な言葉だった。
「けど、気づいたら立っとった」
少しだけ考えて、
「戻る場所やなくて、前を見る場所に」
それだけ言って、口を閉じた。
十分だった。天草四郎時貞が、小さく頷いた。🙏✨
⏳ 沈黙
沈黙が落ちる。🔇
昨夜も、同じ沈黙があった。
違うのは、今日は誰も避けないことだ。
避ける余地がない。
元就が視線を動かす。
「半蔵」
半蔵はすぐに答えない。一拍置いて、
「はい」
「外を見とけ」
「既に見ています」
それ以上、言葉はなかった。
外は静かだ。静かすぎる。🍂
🛡️ 準備
忠勝が指を組み直す。
「守りを固める、でよか?」
「固める」
元就が短く答える。
「なら、人を動かす」
「目立たんように」
半兵衛が添える。
「分かっとる」
忠勝は笑わなかった。🪖
元康が湯飲みに触れる。飲まずに置く。🍵
「……皆で動くんか」
元就は答えない。
代わりに、天草四郎時貞が口を開いた。✨
「一緒に、ではありません」
元康が見る。
「同じ方向に、です」
歩幅は違う。役目も違う。
それは昨夜、もう決まっていた。🏹
💠 境界
環は、自分の手を見る。
何も持っていない。それでも、ここにいる。✋✨
(選ばれたのは、武器やない)
境界は、目に見えない。でも、確かにある。
半兵衛は、机の上の紙を見たまま言う。📄
「今日は、書かん」
「書かんの?」
「書くと、形になる」
形になったら、戻れん。
だから今日は、待つ。🌌
第50話 完
🔮 クロノスの予告
居間の隅、誰にも気づかれぬ場所で、目に見えない砂時計の砂が逆流を始める。⏳✨
それは「理(ことわり)」が刻む、人ならざる者の時間。
環(たまき)の掌に、一瞬だけ熱が宿り、あの懐かしくも冷徹な声が脳裏に響いた。
『汝、止まった時間を動かす者。選んだ道は、既に星に刻まれている。』
環は無意識に胸元を抑える。
そこにあるのは、現代から持ってきた後悔ではない。
この戦国の世で、これから自分が「描くべき未来」への確信だった。🌌
⏳ 時間予告:第51話「境界の向こう側」
夜明けの光が、彼らの影を長く引き延ばす。☀️
それぞれの「同じ方向」へ歩き出した先に待っていたのは、予想だにしない人物との再会。
そして、半兵衛が「書かなかった」策の真意が、ついに明らかになる——。
時は、理を結ぶために再び加速する。 ⚡️