🗡️戦国ファンタジー 第26話

戦国ファンタジー
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⚖️ 天草四郎時貞 ― 武器取り・第二夜(理の選別)

冬の陣まで、まだ日がある。

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だが、天草四郎時貞の夜は、すでに戻れない地点を越えていた。

第一夜を越えた身体は、軽くも重くもない。

ただ、密度が違う。

同じ夜気、同じ星空のはずなのに、世界が一段、深く沈んでいる。

胸の奥で、確かな脈が打った。

それは鼓動ではない。

選別が始まる合図だった。

🌑 再訪

歩みを止める前に、境は現れた。

昨夜の“武器取りの境”と同じ輪郭をしていながら、別物だ。

空間は狭い。

呼吸が、ほんのわずかに詰まる。

(……理が、近い)

天草四郎時貞は悟る。

ここからは、問いに「通る」だけでは足りない。

通った理由が、剥き出しにされる。

🕯️ 理は、冷たい

声はない。

だが、問いは刃のように明確だ。

❓ 「汝は、正しさを選ぶか」

正しさ。

人を救い、人を縛り、人を殺す言葉。

天草四郎時貞は、すぐには答えない。

視界に、過去が重なる。

祈りが掲げられ、

正義が叫ばれ、

それでも、切られた者たちの影。

「……正しさは、刃になる」

境が、ぴくりと動いた。

「弱い者を守るための正義が、

やがて弱い者を切る」

一歩、前へ。

「だから私は――

正しさを、選ばない」

⚖️ 反証

圧が返ってくる。

否定ではない。反証だ。

❓ 「では、誤りを許すのか」

天草四郎時貞は、目を伏せない。

「許す」

即答だった。

圧が増す。

境が、彼女を試す。

「だが、放置しない」

「止める」

「奪わせない」

一語一語が、重い。

「存在を否定することと、

行いを止めることは、同じじゃない」

境が、わずかに緩んだ。

🔥 理の第二層

問いは、さらに深くなる。

❓ 「汝は、勝利を選ぶか」

勝利。

多くを救い、同時に多くを切る概念。

天草四郎時貞は、首を振る。

「選ばない」

「勝利は、結果だ」

「目的じゃない」

境が、再び揺れる。

「勝つために人を切るなら、

それはもう、理じゃない」

🌌 記憶の干渉

圧が変質する。

問いではなく、干渉。

過去の祈りが、

折れた夜が、

血の匂いが――流れ込む。

天草四郎時貞は、耐える。

(逃げない)

祈りを捨てれば、楽だ。

だが、それは選別の失格。

🔔 武器の反応

闇の奥で、影が明確になる。

長い。細い。

剣でも、槍でもない。

🔔 武器は、記録している。

答えを。

姿勢を。

耐え方を。

だが、まだ――

渡らない。

⚖️ 理の第三層:敗北

最後の問いが落ちる。

❓ 「汝は、敗北を受け入れられるか」

天草四郎時貞は、即答した。

「受け入れる」

境が、沈黙する。

「守れない命がある」

「救えない夜がある」

彼女は、視線を逸らさない。

「それでも、立つ」

「それでも、次に繋ぐ」

🌑 通過

圧が、消える。

境は、彼女を押し返さなかった。

道が現れる。

だが、まだ先は見えない。

これは通過。

契約ではない。

🌌 現世

夜風が戻る。

星は同じ位置にある。

だが、背後に――

確かな“重み”。

天草四郎時貞は、息を吐く。

「……理は、通ったな」

🔮 クロノスの導き

「理は選別された」

「次は――意思だ」

冬の陣まで、まだ日がある。

だが、武器取りは最終段へ向かう。

▶ 次回予告

第27話|⚔️ 武器取り・第三夜 ― 契約直前

理は通った。

信仰も残った。

最後に問われるのは――意思。

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