❄️⚔️ 戦国ファンタジー 第44話

💫戦国ファンタジー💫
スポンサーリンク

「時が止まる夜、理だけが進む」 🕯️⏳

冬の夜は、音を奪う。

スポンサーリンク

三河の城は、まるで世界から切り離されたかのように沈黙していた。

灯は揺れている。

人も確かに息をしている。

それでも——時間が、止まったように感じられる。

環は回廊を歩きながら、その異様さを噛みしめていた。

足音が、やけに遠く感じる。

冷えた空気が肌を刺すが、それ以上に胸の奥が静まり返っている。

「……動かない、というのは」

「こんなにも、心を削るものなのか」

冬の陣は、確実に始まっていた。

剣も、号令もないまま。

🧭 動かぬ陣、締めつける時間

広間では、信長が地図の前に座していた。

だが指は動かず、線をなぞることもない。

将たちは沈黙を守っている。

誰もが理解していた。

この陣は、兵を動かす戦ではない。

「攻めぬ。退かぬ。

だが、時間は味方だ」

信長の言葉は低く、淡々としていた。

それは命令ではなく、理の確認だった。

敵は動かない。

こちらも動かない。

だが、日が沈み、夜が明けるたびに、

城の内側だけが、確実に削られていく。

🌫️ 噂が作る“見えない刃”

城下では、小さな囁きが増え始めていた。

「援軍は、本当に来るのか」

「信長は、この地を見捨てたのでは」

「このまま冬を越せるはずがない」

誰が言い出したのか、誰も知らない。

それが、最も恐ろしかった。

噂は刃を持たない。

だが心に入り込み、時間をかけて削り続ける。

環は理解していた。

この戦いで最初に折れるのは、

城でも、兵でもない。

“信じる理由”そのものだ。

🕊️ 耐える者と、揺れる者

元康は、城の一角で夜空を見上げていた。

笑みは浮かべているが、言葉は少ない。

「皆、耐えてはいる」

「だが……耐える理由を、探し始めている」

環は黙って頷いた。

戦とは、動くことで自分を保てる。

だが、この陣では何もできない。

何もできない時間は、

人から誤魔化しを奪う。

⚖️ 最初に崩れる“判断”

夜半、城内で小さな混乱が起きた。

持ち場を離れた兵がいたのだ。

敵影はない。

攻撃もない。

それでも、その行動は明確だった。

恐怖が、判断を奪った。

報告を受けた信長は、表情を変えなかった。

「よい」

将たちは息を呑む。

「恐れが先に形になる。

それが、この陣の進み方だ」

誰も責められなかった。

それは失敗ではない。

時間が、選別を始めただけだった。

🔥 剣を抜かぬ理由

環は、自分自身に問いかけていた。

——ここで剣を抜けば、

——戦っている実感は得られるだろう。

だが、それでは意味がない。

この陣で試されているのは、

力でも、勇気でもない。

理(ことわり)を、疑わずにいられるか。

剣を抜けば、心は一瞬軽くなる。

だが、この夜はそれを許さない。

🌌 時間だけが進む夜

夜は長く、そして静かだった。

何も起きないまま、刻だけが積み重なっていく。

環は天守へと上り、空を仰ぐ。

雲の切れ間から、淡い月が覗いていた。

完全な光ではない。

だが、確かに消えてはいない。

「時間は、止まっていない」

止まっているように見えるのは、

人の心だけだ。

🕯️ 残る理由、去る理由

城の中では、少しずつ差が生まれ始めていた。

・疑いを言葉にする者

・沈黙を選ぶ者

・理由を胸に抱え続ける者

誰が正しいわけでもない。

だが、次へ進める者は限られていく。

信長は、それを見ていた。

何も言わず、ただ時を進める。

⏳ 冬の陣の正体

環は理解した。

この陣は、勝敗を決める戦ではない。

“時間に耐えられる者”を選ぶ戦。

剣を抜かず、血を流さず、

心だけを試す。

冬は、まだ深い。

そして、時は確実に次へ向かっている。

🔮 クロノス予告

時は、止まって見える夜ほど進んでいる。

剣を抜かぬ者の心を量り、

理を疑わぬ者を残す。

冬の陣が選ぶのは、勝者ではない。

——時間に耐え、理由を失わぬ者である。

⏳ 次回予告

次に刻が動くのは、

沈黙に耐えきれなくなった者が、

自ら答えを求めた瞬間。

時は告げる。

動いた者から、試されると。

❄️⚔️ 戦国ファンタジー 第45話へ続く

⚔️戦国ファンタジー第45話|First to Move

スポンサーリンク
スポンサーリンク