🌸 戦国ファンタジー 第10話「天草四郎の帰還(中編)」

戦国ファンタジー
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第一章:帰郷 ― 捕らわれの理

潮風が静かに頬を撫でた。

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天草四郎は、光の残滓をまといながら海辺の地に降り立った。

そこは、かつて祈りと歌が交わった港――彼女の故郷。

「……時を越えて戻るなんて、本当は許されないのに。」

彼女の声は震えていた。

“パラドックス”――時の理を乱す行為。

クロノスの警告が頭をよぎる。

しかし、その迷いの隙を突くように、背後から怒号が響いた。

「何者だ!」

「神を騙る異端の巫女、捕らえよ!」

数人の兵が槍を構え、鎖が放たれる。

四郎の腕を縛る冷たい光。

だが、その鎖に触れた瞬間、胸の奥が疼いた。

「この波動……理の系譜……?」

目の前に立つ男――その瞳には、彼女と同じ光があった。

「お前……まさか、“理の血”を継ぐ者か?」

天草は息を呑んだ。

この地を守る将、その者こそが自分の先祖だった。

第二章:理の継承者たち

牢に閉じ込められた四郎の前で、男は静かに口を開いた。

「我らは理の守人。

 だが、神に至ることは叶わなんだ。」

彼の腕には、薄く輝く刻印があった。

理の紋章――天草家に代々受け継がれる封印の証。

「……あなたが、私の始まり。」

「始まり?」

四郎はゆっくりと袖をまくり、傷ついた腕を見せた。

そこには未来で得た“神格の印”が浮かんでいた。

「この印が、あなたの理の未来形。

 私は、その先に生まれた子孫です。」

兵たちはざわめき、男は立ち尽くす。

「子孫だと……?」

「信じられなくても構いません。

 けれど、あなたの理は、時を越えて生き続けています。」

第三章:共鳴 ― 天使の覚醒

夜が更け、牢の外で嵐が唸っていた。

天草の身体が震え、腕の印が痛み出す。

リベリオンロッドが淡く光を放つ。

「やはり……時の反動が。」

そこへ、先祖の男が現れた。

「お前の傷、その光……理の波動が溢れている。」

彼が手を伸ばした瞬間、二つの理が交わった。

眩い光が部屋を満たし、世界が一瞬止まる。

『理の継承、最終段階――共鳴率95%。』

クロノスの声。

天草は呻きながらも、杖を掲げた。

「クロノス、これは……運命を壊す行為では?」

『違う。これは“修復”だ。

欠けた理は、お前の中で繋がる。』

彼女の背に白い羽が広がり、瞳が金に輝いた。

鎖が砕け、光が空へ昇る。

「神を……見た……」

膝をついた男の声は、崇敬と安堵に震えていた。

「あなたの理、確かに受け継ぎました。

 この時代の痛みも、未来の誓いも。」

第四章:神昇格 ― 封印の理

祠の天井が割れ、光が天へと伸びていく。

嵐が静まり、海が鏡のように輝いた。

『天草四郎、理の継承を確認。

天使階層より上位“神格位”への昇格を許可する。』

クロノスの声に応じるように、

彼女の身体は純白の光に包まれた。

「……これが、神の理。」

「違う。」クロノスが答える。

『これは“人の理”を越えた“祈りの進化”だ。

お前は人でありながら、理を束ねる存在。』

彼女は微笑み、祠を見下ろす。

その中で、先祖の男が跪いていた。

「我らが届かなかった高みを……お前が越えたのだな。」

「あなたの理があったからです。

 だから私は、孤独ではありません。」

光が収まり、天草は杖を掲げた。

「理の継承、完了――次は、三河へ。」

第五章:黎明の旅立ち

夜明けの海。

天草の背に光が宿り、風が潮を押し返す。

「環……もうすぐ、あなたの理と再び交わる。」

リベリオンロッドが光を放ち、彼女の身体が宙へと浮かぶ。

『理の航路、安定。三河との座標接続開始。』

クロノスの声とともに、光が彼女を包む。

その姿が消えた後、波間に残るのは一輪の白い花。

「天草の娘よ……理の神となれ。」

先祖の祈りが風に溶けた。

💫 クロノスの導き

『理の系譜、繋がれり。

だが、神格とは孤独の名でもある。

光が強ければ影もまた深い。

天草よ、理を束ねる旗手に出会う時、

その光が真に完成するだろう。』

🌙 次回予告

第11話「三河、再会の陣」

神格へと昇った天草四郎。

彼女の光を感じ取り、理の旗手・環が動き出す。

交錯する理と祈りの果てに、封印の影が蠢く――。

クロノスが告げる、“再起動の刻”が近づいていた。

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