🔥第ファンタジー15話 前編(松平元康・服部半蔵・本多忠勝 ― 京都への導き)

戦国ファンタジー
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🔹三河の空白

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三河の朝は、まだ冬の冷気が残っていた。

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焼けた土の匂いが風に混ざり、静かな空気が戦の余韻を伝えてくる。

足利義輝が倒れ、勝利したはずの武将たちは胸に空白を抱えたまま歩いていた。

松平元康もまた、その重さを誰より深く抱えていた。

「まだ……終わっていない。」

そう呟き、彼は一人で山道へ向かう。

勝った。しかし国はまだ立ち上がっていない。

ならばまず、自分の“理”を定めなければならない。

山深く進んだ先に、小さな祠があった。

誰にも顧みられない古びた祠。

だが、元康は呼ばれた。

祠の奥で光が脈打つ。

それは剣の形をしていた。

触れた瞬間、光が元康の胸を撃ち抜く。

「守るとは、力ではない――道を示すことだ。」

声なき声が響き、曇っていた心がほどけていく。

光剣は未完成ながらも“黎明の核”を宿し、彼の理と共鳴した。

元康は剣を握りしめ、息を吐く。

「次は……京都だな。」

風向きがそう告げていた。

🔹服部半蔵 ― 影との試練

同じ頃、服部半蔵は深い森の中を進んでいた。

紫の霧が漂い、森は異様な静けさに包まれている。

半蔵が奥へ踏みこむと、突然、気配が割れた。

そこに“もう一人の半蔵”が立っていた。

影そのもののような存在。

表情も言葉もない。

ただひとつの問いだけがある。

――逃げるのか、向き合うのか。

半蔵は迷わず前に出た。

影と重なり、闇が刀の形を取る。

朧影刀(おぼろかげとう)。

握った瞬間、闇が晴れ、風が京都の方角を示した。

半蔵は静かに頷く。

「元康様と同じ道……ここが次の地か。」

🔹本多忠勝 ― 雷鳴の丘

一方その頃、本多忠勝は雷雲の下にいた。

山の上で雷が渦を巻き、地面を震わせている。

その中心に“槍”が突き立てられていた。

雷轟の槍――

それは忠勝の鼓動と同じリズムで光を放つ。

触れた瞬間、雷が弾け、忠勝の全身に光が走る。

「守り抜く力……これもまた理。」

雷が収まり、空は京都の方角を照らした。

忠勝は槍を肩に担ぐ。

「元康様の剣、半蔵の影……そして俺の雷。

 三つ揃うのは、京都だな。」

🔹三武将、京都へ

三人は別々の地で覚醒し、しかし同じ方角を見ていた。

京都。

そこに“次の理”がある。

そこが“試練の地”。

松平元康の光

服部半蔵の影

本多忠勝の雷

三つの理は、ひとつの都に集う運命だった。

三武将はそれぞれの道を進みながら、京都へと歩みを重ねていく。

空気は変わる前触れのように揺れ、遠くで時代が軋む音がした。

――これはまだ、序章にすぎない。

⏳次回予告

三つの理を手にした元康・半蔵・忠勝。

その歩みはついに“都・京都”で交わる。

そこで待つのは試練か、覚醒か、それとも――新たな運命。

🔮クロノスの導き

理は集まり、道は交わる。

光・影・雷――三つの理が揃う時、歴史は静かに形を変える。

京都で開く扉は、過去ではなく“未来”への入口である。

戦国ファンタジー:第15話-2

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