✨**天草四郎時貞 ― 神降臨の刻(とき)**✨
~光が裂き、理が揺らぐ前夜~
🌙 序章:呼ばれた者たち
三河の空に冬の気配が満ち始めたころ。
深い朝霧を割るようにして、三成は元康のもとへ歩を進めた。
胸の奥から離れない“夢”。
言葉にすれば溶けてしまいそうなほど脆いが、確かに告げるものがあった。
「……また、あの光の夢を見ました。」
元康は静かに視線を向ける。
彼の眼差しだけが、三成の不安を受け止めてくれた。
「兆しは常に夢から始まる。話してみよ。」
そこへ佐々木小次郎が姿を現す。
「三成。……実は私も、同じ夢を見た。」
さらに遅れて宮本武蔵も現れた。
まるで導かれるように、四人は自然とひとつの場所へ集っていく。
空は朝なのに、どこか夜のように静まり返っていた。
まるで理そのものが息を潜め、何かを待ち構えているようだった。
🔥 第一章:光、世界を貫く
不意に、東の空が白く閃いた。
それは雷ではなく——
剣でもなく——
“天そのものの意思” が形を持ったような光だった。
次の瞬間、世界が震えた。
空が裂け、金色の奔流が地を照らす。
その中心に、ひとりの少女が降り立つ。
天草四郎時貞。
光は彼女を包み、血と魂と理を洗い流すように揺らいだ。
その気配は既に “人” の域を超えていた。
三成の胸がざわりと痛む。
「……これは、何の力……?」
天草はゆっくりと目を開いた。
その瞳の奥には、永遠に近い孤独と、底知れぬ優しさが宿っていた。
「私は……還りました。
未来を守るため、過去へ戻された魂——
そして今、この刻に 神格へ昇る 運命を得ました。」
声は澄み切っていた。
光の中に立つ彼女は、それだけで理の均衡を揺らす存在であった。
🌟 第二章:神昇格 ― リベリオンロッド覚醒
天草の手に浮かぶ杖が震え、形を変え始めた。
リベリオンロッド。
彼女が唯一持ち帰れた“未来の記憶”であり、魂の核でもある武器。
それが光の中で、
「祝福」
「祈り」
「反逆」
この三つの理を同時に宿してゆく。
杖は伸び、細い光の翼を生やし、一本の神杖へと昇華した。
「……これが、あなたの真の姿……」
三成は呟き、胸のざわめきに手を当てた。
天草の覚醒が、何か大きな運命の歯車を動かしたことを本能で理解する。
元康は光に目を細める。
「天草よ。その力は光か、理か、それとも——」
「どれでもあり、どれでもありません。
私の役目はひとつ。
“揺らぎ始めた理を観測し、未来へ繋ぐこと”。」
その瞬間、世界の色が変わったように感じた。
⚔️ 第三章:試練の導き ― 調和と審判
天草の光の余波が、地を駆け抜ける。
理の構造に触れた者たちの武器が反応し始めた。
■佐々木小次郎 ― 心の揺らぎを断つ試練
小次郎の剣が、青白く震えた。
かすかな音。
剣が心を映す鏡のように、彼の胸の奥を照らす。
「これは……私の中の“恐れ”……?」
彼の試練は “心の調和”。
嫉妬、孤独、焦燥——
剣士として積み上げた矛盾を解き放つ戦い。
剣に宿る光は、彼の魂に問いかけていた。
■宮本武蔵 ― 己を裁く者
続いて武蔵の刀が黒い縁取りの光を帯びる。
「……これが、俺の“審判”か。」
試練のテーマは “己の弱さへの裁き”。
武蔵は誰より強さを求めたが、
誰より強さに怯えてきた。
刀は静かに語りかける。
「真に強き者は、己を斬ることを恐れぬ。」
武蔵は目を閉じ、ゆっくり呼吸を整えた。
光も闇も、等しく受け入れる覚悟を決める。
💠 第四章:三成 ― 覚醒の“芽”
三成の武器はまだ沈黙していた。
だが胸の奥のざわめきは止まらなかった。
「……苦しい……でも、これは……」
天草の光が触れた瞬間だけ、
心臓が“異なる拍動”を刻む。
元康はその変化に気づく。
(この子も、いずれ理に選ばれる……だが今はまだ時期ではない)
三成の覚醒は “冬の陣が終わった後” に訪れる。
その布石が、この瞬間に確かに刻まれていた。
🔮 第五章:光が告げる未来
天草四郎は三成たちを見つめ、静かに言った。
「理の揺らぎは始まりました。
冬の陣が訪れれば、世界はひとつの選択を迫られる。
あなたたちは、その渦の中心に立つでしょう。」
風が吹いた。
冬の匂いを含んだ冷気が、戦いの季節を告げる。
小次郎と武蔵は、それぞれの武器の震えを感じながら立ち上がる。
「試練はまだ序章にすぎぬ。
真の覚醒は、この先にある。」
元康は天草の光を見据え、静かに頷いた。
「来るか……冬の陣が。」
🌌 クロノスの囁き(終章)
――光は還り、理は覚醒の刻(とき)を待つ。
その手に宿る“未来”は、まだ誰も知らぬ。
🎯 次回予告・第19話
『理の巡察 ― 五つの国を歩む』
武田、上杉、織田、立花、毛利――
冬の陣前に各地を巡察する環たち。
そこで見つける“小さな異変”が、やがて24日を揺らす火種となる。