🗡️ 戦国ファンタジー 第35話

💫戦国ファンタジー💫
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― 武器巡礼・進まぬ理と進む覚悟 ―

🌫️

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朝靄の中、環は静かに立っていた。

夜明け前の空気は冷たく、肺に入るたびに心まで澄ませていく。

ここは、昨日まで歩いてきた巡礼の地とは違う。

違うはずなのに、どこか似ている。

「……進んでいるのに、同じ場所にいるみたいね」

言葉にした瞬間、環は小さく笑った。

それは迷いではなく、確認だった。

🗺️

武器巡礼とは、ただ力を集める旅ではない。

理(ことわり)を見極め、

取るべきものと、取らぬべきものを選ぶ旅。

前の地で、環は一つの理を見送った。

力はあった。

意志もあった。

だが、歩幅が合わなかった。

それだけの理由で、十分だった。

🗡️

「剣は、まだ黙っているわね」

腰に下げた聖剣は、静かだった。

共鳴も、警告もない。

だがそれは拒絶ではない。

待っているのだ。

環はその沈黙を信頼していた。

自分が焦らぬ限り、剣も焦らない。

🌲

道の先で、元康が立ち止まった。

「ここから先、気配が変わる」

「ええ。澱みじゃない。……選別ね」

二人は同時に頷いた。

理が、環を試しているのではない。

環が、理を選んでいる。

⚖️

巡礼の途中、環は何度も思い出していた。

「正しさ」と「合うかどうか」は、違うということを。

正しいからといって、共に進めるとは限らない。

善意があっても、安心できるとは限らない。

「進めない理を、無理に束ねると……」

「後で必ず、誰かが壊れる」

元康の言葉は、過去を知る者の重みを帯びていた。

🔥

不意に、風が変わった。

剣が、わずかに震える。

環は足を止めた。

「……来たわね」

それは強烈な呼び声ではない。

だが確かに、進むべき方向を示す理。

🛡️

現れたのは、戦の痕跡が残る小さな集落だった。

焼け落ちた家。

修復されぬままの柵。

そして、それを守ろうと立つ人々。

彼らは武器を持っていなかった。

だが、覚悟はあった。

👁️

環は剣を抜かなかった。

代わりに、静かに問いかける。

「あなたたちは、何を守ろうとしているの?」

答えは、即座ではなかった。

だが、沈黙のあとに出た言葉は、重かった。

「……生き方です」

その一言で、剣が鳴った。

それは力の理ではない。

勝利の理でもない。

継続の理。

戦い続けるためではなく、

生き続けるための覚悟。

環の中で、何かが噛み合った。

🗡️

「この理なら……束ねられる」

剣が初めて、はっきりと応えた。

眩い光ではない。

静かで、揺るがない輝き。

🌙

その夜、環は焚き火の前で考えていた。

「進まない理があったから、進む理が分かった」

巡礼は、無駄な回り道ではない。

選ばなかった道が、選ぶ理由を教えてくれる。

🕰️

遠くで、クロノスの気配が微かに揺れた。

《選択は、力ではなく覚悟によって行われた》

環は空を見上げ、静かに息を吐いた。

「ええ。だから、後悔はしない」

🌸

武器巡礼は、まだ終わらない。

だが、進み方は定まった。

合わぬ理は、敵ではない。

ただ、今ではないだけ。

環は剣を収め、次の地へと歩き出した。

⏳次回予告

束ねられた理が、初めて試される。

小さな集落に迫る“理の歪み”。

🔮 クロノス予告

覚醒は数え終えた。

次に近づくのは、天の理。

剣を極めた者、

影に立つ者――

境界が、静かに動き出す。

戦国ファンタジー 第36話|三河の夢

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